【雇止め】妻の健康保険復帰の手続きが面倒?
2年間、契約社員として働いていた妻が、3年目の契約更新がされず、雇止めになりました。意外と面倒くさかった健康保険加入の手続きのことを記します。
避けたい無保険状態
妻は1年契約の契約社員として一昨年から働き始めました。2年目の昨年は自動更新となり、特に何の手続きもなく、継続して働き続けました。
ところが3年目に入る今年は、契約更新を希望するなら試験を受けてほしいと言われ、履歴書の提出を求められました。
もともと、職場の人間関係などに不満があったこともあり、試験を受けるのはやめ、退職することにしました。
失業保険など、さまざまな手続きが必要になってきますが、当面、急がなければならないのは健康保険の手続きです。
一時的にせよ無保険状態になってしまうと、安心して医療機関を受診することもできません。
契約社員になる前は、扶養家族として私の健康保険組合に加入していました。
元に戻るのだから、手続きは簡単だろうと思い、ただ、早めに聞いておいた方がいいと3月上旬に私の会社の担当者に相談しました。
妻の退職日は3月31日です。
私の健康保険に再加入
「妻を以前のように、私の健康保険に加入させたいんですが」と切り出すと、総務部の担当の女性社員Nさんが顔を曇らせました。
年金や社会保険の相談事なら何でも「分かりました」と二つ返事で引き受けてくれる、頼りにしているNさんです。
彼女は開口一番「けっこう、面倒ですよ」と切り出しました。
実は、この2年間の間に、健康保険の手続きを社会保険労務士法人に外注する仕組みに変わり、Nさんは何もできないそうです。
「いくつかの書類を用意して、社会保険労務士法人に提出しなければなりません」とNさんは言います。
その書類とは
①住民票
②妻の収入証明(所得証明書)
⓷被扶養者認定申請書
④被扶養者状況報告書
⑤現在の健康保険の資格喪失証明書
でした。
また、その社会保険労務士法人は基本的にメールでのやりとりになり、電話での問い合わせはできないと脅されました。
これまでは、分からないことやあいまいな点は、Nさんに聞くと懇切丁寧に教えてくれていたので、じかに質問などができないと聞くと、不安になります。
問題は資格喪失証明書
①、②は市役所に行けば発行してもらえます。
私の妻はマイナンバーカードを持っているので、コンビニで手に入れることができますので、それほど面倒ではありません。
⓷④は申請関係書類なので、多少の面倒はいたし方ないかと思いましたが、もともと加入していた妻が戻るだけなので、手続きなんて簡単だろうと思っていた私には、ちょっと不本意でした。
以前は、口頭で伝えたことをNさんが書類にしてくれていたのかもしれません。
問題は⑤です。
資格喪失証明書ですから、資格がなくなる4月1日でなければ発行されないものではないでしょうか。
それを待って、加入申請をするのであれば、必ず無保険期間ができてしまいます。
「その時は自費で払っていただいて、あとで申請してもらえば、差額がもどってきますよ」とNさんは教えてくれましたが、これがまた面倒臭そうです。
また、当面、妻がアルバイトをすることを告げると、「収入によっては被扶養者になれないかもしれないので、そのアルバイトの収入が分かる書類がほしいですね」とNさん。
「契約条件が分かる契約書とかシフトが分かる勤務表とか」
妻は4月1日からアルバイトをする予定で、契約書は当然、4月1日に交わすことになります。
いずれにしても、無保険期間が生じることになります。
避けられない無保険状態
「どうしても無保険がいやなら、国民健康保険に入る方法もありますが、会社の健康保険組合に入る方が断然、お得ですよね」とNさんは笑います。
健康保険組合の場合、被扶養者が何人いようと負担する金額は変わりません。
毎月天引きされる保険料は収入に応じて変わりますが、被保険者の数は影響しません。
単純にいうと夫婦がそれぞれ別々に払っていた保険料を、1人分だけ払えばよくなるのですから、こんなにお得なことはありません。
それだけに被扶養者と認められるためには、厳しい条件がつけられ、審査が必要なのでしょう。
最近は、健康保険組合も財政状況が厳しいと聞きます。
こうした説明を受け、帰宅して、基本的なことを調べてみました。
年収130万円未満
被扶養者の認定条件は、同居している場合、年収130万円(60歳以上なら180万円)未満で、被保険者(私)の収入の2分の1未満であること、が分かりました。
問題は「年収」です。
この場合、年収とはいつからいつまでの収入になるのでしょうか。
1月から12月までだとしたら、3月までは普通に勤めていたので、今後の働き方次第で、被扶養者の認定条件から外れてしまう可能性があります。
しかし健康保険の場合は、1月から12月までではありませんでした。
退職後の収入が1年換算で130万円未満ならOKです。
保険組合によって微妙に違うようですが、退職後の月収が108,334円未満とされているケースが多いようです。
これは108,334円の月収が12か月続くと130万円になるということですね。
妻の場合、4月から始めるアルバイトでは、月収108,334円を超える可能性はありませんので、この年収制限に関しては考慮する必要がないことが分かりました。
ここまで分かったことを妻に話しました。
妻も私が申請さえすれば、私の健康保険組合に入れるものと安心していましたので、戸惑いを隠せませんでした。
資格喪失証明書を入手
翌日、出社した妻が担当者に資格喪失証明書の件を尋ねると、退職日まで待たずに発行が可能とのことでした。
また、退職日は3月31日ですが、資格喪失日は4月1日となることも分かりました。
もともと、無保険期間が生じないように早く手続きをしたかったのですが、結局、この資格喪失証明書がなければ、妻の加入申請はできません。
3月25日に資格喪失証明書がもらえました。発行日は4月1日となっていました。
翌週28日の月曜日に手続き書類を社会保険労務士法人に郵送しました。
25日に必要書類がそろったのに、郵送を28日にしたのは、会社の担当者であるNさんに事前にチェックしてもらおうと思ったからです。
しかし、Nさんは多忙のようだったので、とりあえずスピードが大事と思い、Nさんのチェックは受けずに会社の近くのポストに投函しました。
届かない保険証
手続き代行の社会保険労務士法人は大阪なので、発行まで1週間ぐらいはかかるだろうと考えましたが、翌週の4月4日の月曜日になっても何の連絡もないので、翌5日にメールで問い合わせました。
すると「書類を本日受領しました。明日付で健康保険組合に提出します」との返信が返ってきました。
よくいう「蕎麦屋の出前」状態の返事です。
メールには「健康保険組合様の審査を経て、2週間程度で保険証がご自宅に届きます」ともありました。
私が妻の加入を急いだのには理由があります。
妻が13日に歯科の予約を入れていて、そこで現金で支払うとその後の返金手続き等がややこしいのではないかと思ったからです。
結局、保険証が届かないので、妻は多めの現金を持って歯科に出かけました。
その日、出社した私は健康保険組合のホームページで診察代金の自己負担分の還付を受ける方法を調べ、必要書類をプリントアウトして、帰宅しました。
予想外の事態が
すると、妻が意外な事実を告げました。
歯科に行き、保険証が間に合っていないことを告げ、全額を現金で支払おうとすると、窓口の女性が「ご主人の保険に加入し、保険証がすぐ来るようなら、ご主人もうちに通院しているので、いつものように保険診療の代金で構いません」と言ってくれたのだそうです。
そんな訳で妻は保険診療の代金だけを支払い、私がプリントアウトして持ち帰った療養費支給申請書は必要がなくなってしまいました。
保険診療のルールはよく分かりませんが、臨機応変な対応をしてくださった歯科のおかげで、余計な作業や心配が減って助かりました。
結局、保険証が届いたのは翌々日の15日でした。
会社と健康保険組合が東京で、手続き代行の法人が大阪という特殊事情もあり、申請から2週間以上もかかった今回の健康保険証発行。
結果的にはたいしたトラブルは起こらなかったものの、こうした公的な手続きはいろいろ面倒なものだと、改めて思い知らされました。