NISAの損失は損益通算できない

NISA

何かと話題のNISAですが、総合口座での損益通算はできません。

現行NISAのデメリット

現行の内容が大きく拡充された新NISAが2024年から始まります。現行の制度が、いかに使い勝手が悪いかの例になるかと思い、私の体験を以下に記します。

NISAは売却益が非課税になる制度です。NISAの特徴はそれだけです。NISAだからといって、確実に利益が出る訳ではありません。

NISA口座で運用していても、その株や投信が値下がりし、それを売却すれば、当然、売却損が出ます。

売却益の税率は20.315%

NISAではない、一般の総合口座の場合、売却益と売却損は損益通算され、年間の損益がプラスの場合には、売却益には税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%) (※)の税金がかかります。

これは「申告分離課税」なので、給与等他の所得と区分して税金の計算を行います。

株取引で損をしても、他の所得とは損益通算はできませんが、上場株式と公募株式投信の間では、損益通算が可能です。

A株での損失と、B投信で得た利益は損益通算ができるので、損が出た分だけ納める税金を低く抑えることが可能になります。

今回、NISA口座で損が出ている投信を私はNISA口座も他の口座と損益通算ができるものと考えていました。

考えていたというよりは、思い込んでいたといった方が正しいかもしれません。

損失の出ている投信を売却

私のNISA口座には、かなり損失が出ている投信があります。2020年に買った米国の自動運転関連の株式投信です。

現行のNISAでは保有期間が5年を過ぎると非課税でなくなります。

2020年に買った投信ですので、2025年までに利益が出なければ、NISA口座で運用する意味がありませんが、取得時の価格から考えると、売却益が出る金額になる可能性は低いように思えます。

そこで、その投信を売却することにしました。いわゆる損切です。

最近、日経平均も上昇してきたので、利益の出ている国内株や投信を売って利益が出たら、その投信の損失と相殺することで、税金を減らせるだろうと考えました。

その投信を売却し、損益通算を確認しようと証券会社のホームページを開いたときに、はじめてNISA口座と一般の総合口座は損益通算できないことを知りました。

それではNISA口座の中では損益通算ができるのか、というと、NISA口座の商品の利益には税金がかからないので、損益通算という概念はないのです。

よく考えると、当たり前のことですね。

つまり、私がNISA口座で運用していた自動運転関連の株式投信の売却損の数万円は純粋に損となってしまったわけです。

新NISAなら塩漬け作戦も

来年度から始まる新NISAは非課税期間が無期限となるため、損をしてもずっと持ち続け、値上がりしてから売る「ずっと塩漬け作戦」も可能になります。

繰り返しますが、NISAだから必ず利益が出る訳ではありません。

メリットばかりが強調されるNISAですが、デメリットもあることを体験した次第です。